Interview with Louis Wong 「A.P.C.」と「Louis W. for A.P.C.」、その違い。
2013.12.16
-そもそも〈Louis W. for A.P.C.〉はどういった経緯でスタートしたのですか?
ルイ: 〈A.P.C.〉はブランドとしてとても成熟しています。生活を彩るすべてのアイテムが揃い、リアルクローズとして多くの人が日常的に袖を通している。一方で、スペシャル感が乏しくなってしまうジレンマも抱えていました。それは〈A.P.C.〉のヘッドデザイナーである、僕自身の悩みとも言えます。
-そのジレンマも抱えているなかで、〈Louis W. for A.P.C.〉という着想が生まれたわけですね。
ルイ: ジャン(・トゥイトゥ)とコミュニケーションを重ねるなかで、出てきたアイディアの1つですね。成熟したカンパニーには新しい刺激が必要になる。さらに僕自身も、僕ならではの表現を渇望していた。そういった様々な想いがタイミングよく重なって〈Louis W. for A.P.C.〉はスタートすることができました。
-〈Louis W. for A.P.C.〉というブランドは、キャラクターありきの服作りをしています。幅広い層をカバーする〈A.P.C.〉とはまったく違う方法論を選んだ理由を教えて下さい。
ルイ: 単純に言えば、〈A.P.C.〉と同じことをする意味は無いからですね。キャラクターを作り、そのキャラクターのライフスタイルを思い描き、スタイルを作りあげる。そのなかでアウターだけ丁寧に抽出していく。スタイルとアイテムを限定することで、より強い世界観を打ち出すことができる。
-アイコニックなレザージャケットは、20万円前後の価格帯になっています。
ルイ: そもそも〈A.P.C.〉とは違うブランドなので、価格帯が違うのは当然のことです。ただ、既存の〈A.P.C.〉と並ぶことを想定すると、いささか高過ぎるのかもしれません。そういったプライスレンジは反省すべきポイントと言えます。
-一方でプレス関係者の評判はかなり良かったと伺っています。
ルイ: 〈Louis W. for A.P.C.〉はとても小さなコレクションです。だからこそ僕自身が思い描く世界観をしっかり伝えることができました。結果、高い評価に繋がったのかなと。ウイメンズの媒体に取り上げられたのは、意外ではありましたが。
-そういった意外な収穫や反省点をふまえて、〈Louis W. for A.P.C.〉を今後どんなブランドに育てていくのでしょうか?
ルイ: まずはこれまで以上に多くの方に見てもらいたいですね。そのためにはプライスレンジの見直しが必要になる。とはいえ、〈Louis W. for A.P.C.〉のスペシャル感はキープしなければいけない。今後どうするか、というよりも今の力強い世界観をキープしながら、1つずつ課題を解決していければなと思っています。
-ヘッドデザイナーを務めている〈A.P.C.〉では、クリエイティブとビジネスの関係をどのように捉えていますか?
ルイ: そもそも〈A.P.C.〉には、多くの人が手に届く価格帯で変わらない物を提供する、というルールがあります。そういった哲学のもとに、クリエイティブやビジネスが存在する。売上の推移を目にすることはありますが、それ以上にお客様に鮮度を損なうことなく変わらないコレクションを提供することに注力しています。
-〈A.P.C.〉本体ではカニエ・ウエストとのコラボレーションが話題になりました。あのコレクションも、価格帯は既存のラインとは異なります。
ルイ: あのプロジェクトは、カニエ・ウエストという強い個性があるからこそ成り立つわけです。ある意味、飛び道具に近いというか。価格帯こそ〈Louis W. for A.P.C.〉に近いですが、まったく違うアプローチのコレクションですからね、比べようがありません。
-各店舗では発売日に完売したと伺いました。ちなみに今後もこのコラボレーションは続くのでしょうか。
ルイ: それは僕自身もわかりません。お楽しみに、と言っておきます(笑)
-デビューシーズンから〈Louis W. for A.P.C.〉の取扱っている「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」の印象を教えてください。
ルイ: とてもコンセプチュアルでモダン。こういったアーティスティックなスペースで、 〈A.P.C.〉及び〈Louis W. for A.P.C.〉が扱われることはとても光栄に思います。
-実際に店頭をご覧になっていかがでしたか?
ルイ: 老舗のメゾンからインディペンデントなブランドまで、錚々たる銘柄のなかに肩を並べるのは、とても不思議な感覚です。ただ、あらゆるジャンルがミックスされているこの空間だからこそ、服そのものの本質的な存在感が見極められるのではないでしょうか。実際、お客様からどういった反応を得られるのか、とても楽しみです。
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